へーつぁんの自由研究日記

うだつのあがらない法曹の日常

養子縁組の流れ~基本編~

【設例】

AB夫妻は,共働きの夫婦で子供1人を養育していた。ある日,Aの兄Cが過労により精神障害を発症してしまい,治療のため,子供D(2歳)に対する養育を充分にすることができなくなってしまった。AB夫妻は,Dのことを可愛そうに思い,Dを養子に迎え,AB夫妻で育てたいと考えている。AB夫妻はどのような手続を踏むことになるだろうか。

 

【検討】

こうした場面で活用を検討されるべきが,養子縁組である。養子については,養親の嫡出子としての身分を取得する(民法809条)。つまり,実の子と同じ権利義務を負うことになるわけである(身上監護権,相続権等)。

 

なお,養子縁組をした場合でも,実親との身分関係が解消されるわけではないため,例えば,実親の相続権はいまだ保持することになるし,実親は,子に対してはなお扶養義務を負うことになる(この例外が特別養子縁組であるが,ここでは割愛する。)。

 

ところで,夫婦が未成年者を養子とする場合には,夫婦共同で養子縁組をしなければならない(民法795条)。また,養子縁組は,合意によってされるものであるが,設例のような2歳の子に養子縁組をする意思能力があるはずがない。こうしたことを考慮され,養子となる者が15歳未満であるときは,その法定代理人が,養子となる者に代わって,縁組の承諾をすることができるとされる(民法797条)。さらに,未成年者を養子にする場合,家庭裁判所の許可を得なければならない(民法798条)。不当な目的で未成年者がやり取りされることを防止する趣旨である。

以上の規定からすると,AB夫妻は,Cに養子縁組をすることについて承諾をする旨の書面を書いてもらった上で,家庭裁判所に対して,AB共同で養子縁組の許可の申立てをすることになる(例に従って,その書式は裁判所HPに掲載されているので,それに記載すればよい。その他戸籍等が必要になし,どこの裁判所に申し立てるかという問題もあるが,裁判所HPを参照。)。

 

裁判所は,申立書を審査した後,通常は,家庭裁判所調査官という心理学等の知見がある専門職に対して,調査を命ずる。職権主義の表れである。家庭裁判所調査官は,子供,実父母,養子縁組を申立てた者に対して面会等をして調査をし,調査報告書を作成する(家事事件手続法161条3項参照)。その上で,裁判官が,子の福祉の観点から問題がないかを審査し,問題がなければ,許可の審判をする,という流れになる。

 

その上で,ABは,市役所などに行って,養子縁組の届出をする,という流れになる。

関連していろんな論点はあるが,今回は基本編。

熟年離婚における老後の年金額の格差をなくすための手続(年金分割)

【設例】

A(昭和35年生まれ)とB(昭和40年生まれ)は,平成3年1月1日に婚姻した。Aは,婚姻中,会社で勤務し,平均して年収600万円を得ていた。Bは,パートで働き,平均して年収150万円を得ていたほか,家事育児を主に担当していた。ところが,AとBは年齢を重ねるにつれ折り合いが悪くなり,平成28年1月1日,子供の独立を機に協議離婚した。

離婚して半年後,Bは,老後の生計の計画を立てていたところ,年金額につき,Aの方が自分よりも多いことを知った。Bとしては,家事育児に励んで家を支えながら仕事をしていたのであり,Aよりも年金額が少ないことにどこか納得できない。Bとしては,どのような制度を利用することができるであろうか。

 

【解説】

まず,なぜAとBで年金額に差があるのだろうか。AとBはいずれも厚生年金の被保険者(いわゆる2号被保険者)であるが,厚生年金の保険料は,定額ではなく概ね報酬に比例するため,報酬をより多く受けていた方が,多くの保険料を納めることになり,したがって,受給できる老齢厚生年金の額も多くなるからである。とまぁ,年金の話を詳しくしても仕方がないので,詳しい話は他のサイトを参照してほしい。

 

さて,とりあえず,AとBの年金額の差は,厚生年金の制度に基づくことを一応述べた。しかし,【設例】でBが(正当に)不満を抱いているように,現役時代の男女の雇用の格差等によって,年金受給額に格差が生じることになるが,これでは不公平な感が否めない。そこで,この格差を是正する方法として定められたのが,離婚時年金分割制度である。

 

この制度は,婚姻期間中の標準報酬を一方の配偶者から他方の配偶者へ分割することを認めるものである。どの程度分割するかについては,通常,平等になるようにされる(按分割合を0.5とする)。【設例】を題材に考えると,Aは年収600万円で25年間働いていたので,とりあえず標準報酬を1億5000万円とし,Bは年収150万円で25年間はたらいたので,とりあえず標準報酬を3750万円としよう(正確な計算は私には分かりかねるので,「とりあえず」である。)。この場合,AからBに5625万円分の標準報酬を移せば,AもBも9375万円ずつで平等となる。これによって,AもBも老後に受けられる年金の額が平等になるわけである。離婚時年金分割制度は,こうして老後の年金額の格差を是正

 するわけである。

この離婚時年金分割の制度は,離婚日の翌日から2年以内に請求しないと認められないので注意が必要である。本来的には,離婚の際に合意しておくのが一番安心だろう。
 

さて,それでは,実際にBはどのような手続きを踏めば以上のような平等な結論に持っていけるのだろうか。まず,標準報酬額がいくらかを知らないといけない。これを知るには,年金事務所から「年金分割のための情報通知書」を取得する必要がある。取得方法は,年金機構のHPを参照してもらいたいが,要するに,年金手帳と,婚姻期間が分かる戸籍謄本を持って年金事務所に行けばよい。

 

その上で,按分割合を決めなければならない。合意(「AとBとの間の別紙記載の情報に係る年金分割につての請求すべき按分割合を,0.5と定める。」との合意文書を作り,別紙として上記の年金分割のための情報通知書を添付する。)ができればそれでよいし,合意ができなければ裁判所に審判又は調停を求めることになる。この点は裁判所HPを参照していただきたい。

http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_07_17/index.html

まぁ,年金分割に当たっては,按分割合0.5以外の判断が出ることは,まずないと思ってもらってよいだろう。離婚した相手が,0.3とかしか認めないとかごねるようであれば,通らない主張であるので,さっさと裁判所に行った方がよい。少し時間はかかるが。

 

その上で,按分割合の合意書又は審判書等をもって,年金事務所に行って請求手続をすることになる。

 

手続をまとめると,①年金分割のための情報通知書を取得する,②按分割合を定める(合意又は裁判),③年金事務所で手続をする,という感じである。

 

まぁ,弁護士に頼むのが一番だとは思うが,誰がやっても結論は同じになる(=按分割合0.5)と思われるので,手続的な苦労を厭わなければ,自分でやってもよいだろう。役所も仕事なので,聞けば手続をきちんと教えてくれるので,そうそう失敗はしない(はず。)。

 

もちろん,失敗したとしても,私は責任は取らないが。

訴因変更の可否について自分が理解するところを分かりやすく

【設例】

検察官は,被告人を,「被告人は,平成29年1月1日,〇公園において,被害者が遺失したキャッシュカードを横領した。」との遺失物横領罪で起訴した。これに対して,弁護人は,被告人は,交番に届けるつもりで拾得したもので,横領行為がないと主張した。裁判官は,審理の結果,弁護人の主張を退けることはできないが,被告人は,平成29年1月2日に急に10万円が必要になり,届け出ていなかった被害品のキャッシュカードを使用し,×支店ATMにおいて10万円を引き出そうとしたものの,暗証番号が違ったため,引き出すことができなかった,との心証に達した。この場合,裁判官は,どのような手続を踏み、いかなる判決をすべきか。

 

【問題の所在】

裁判所は,検察官が設定した訴因については無罪の心証を抱いている。もっとも,裁判官は,被告人が,その2日後,そのキャッシュカードを使用した点は,遺失物横領罪を構成するとの心証を抱いている。この場合,そのまま1月2日の遺失物横領罪で有罪判決をすることができるか(訴因変更の要否)。できない場合,訴因変更をした上で後者の内容で有罪判決を下すことが可能か(訴因変更の可否)。

【訴因変更の要否】

検察官が設定した訴因と異なる事実を認定する場合,一般的に想定される手続としては,訴因変更がある。本件では,被害品の「横領」という構成要件に不可欠な事実(実行行為)につき,明示された訴因と認定事実とが別物になっているのであるから,いかなる立場からしても訴因変更が必要である。したがって,裁判官は,訴因変更の手続を経なければ,有罪判決を言い渡すことができない。この記事のメインテーマではないので,詳しくは省略する。


【訴因変更の可否】 
本題だが,この事件で訴因変更は可能であろうか。訴因の変更は,「公訴事実の同一性」の範囲でのみ許されるとされるから(刑訴法312条),この「公訴事実の同一性」をどう判断するかが,ここでの問題である。

学生の頃の自分だったら,「公訴事実の同一性は,公訴事実の単一性と公訴事実の狭義の同一性の2つに分けられ,前者は刑法上の罪数を基準に,後者は基本的事実関係の同一性を基準に判断する。基本的事実関係が同一かどうかについては,両訴因が非両立かを考慮する。」なんて論証をしていた。ぶっちゃけ,学生時代は,なんで単一とか同一であれば訴因変更が許されるのか、そもそも非両立基準とは何かについて,その内実を今一つ理解していなかった。そのため,どのように当てはめをして良いのかわからず、あてはめで苦労した。

しかし,この問題は,難しい言葉を暗記するのではなく,その内実をキチンと理解するところから始めなければならないし,内実をきちんと理解すれば,あてはめで苦労することもない。

さて、公訴事実の同一性の判断基準を考えるに当たっては,それが有する機能に着目してアプローチすることが有用である(という学説に私は賛同している。)。すなわち,公訴事実の同一性が認められる場合,一事不再理の効果が生じるとともに,二重起訴禁止の効果が生じるとされるのであるから,公訴事実の同一性は,二重処罰の危険を生じさせる範囲を画する機能を持つ,言い換えれば,1個の刑罰権を発動させることができる範囲を画する機能を持つ。

このような理解を前提とすれば,公訴事実の同一性がある場合とは,1個の刑罰権を発動させるべき場合,言い換えれば,二重処罰の危険性が存在する場合に認められる,ということになる(その意味で「公訴事実の同一性」というのは、なんとなく意味がありそうで、意味がない言葉である。思い切ったことをいえば、刑訴法から「公訴事実の同一性」という言葉を削除して、「二重処罰となり、又はその危険性が存在する範囲」とかいう言葉に置き換えた方が混乱を招かないのでは、などとも思う。)。


訴因変更の場面に引き直して平たく言うと,変更前の訴因と変更後の訴因で両方有罪の判決をした場合,1個の刑罰権を行使すべきなのに,これを二重に行使してしまうことになる関係が認められれば,公訴事実の同一性があり,訴因変更が許される,ということになる。誤解をおそれず素人的な言い回しを使うと,二つの訴因について両方別々に有罪判決を出した場合,被告人として,「なんでやねん!」と言えるような場合には,公訴事実の同一性があるということになるわけである。


では,どのような場合に1個の刑罰権を行使すべき場合に,それを二重に行使することになるだろうか。

典型的なのは,従来から公訴事実の単一性と呼ばれる類型である。すなわち,罪数上一罪の関係にある犯罪については,1個の刑罰権の行使しか認められないので,別々に有罪判決を下した場合、明らかに二重処罰となる。例えば,牽連犯の住居侵入と窃盗をそれぞれ別々に有罪にした場合,被告人としては「なんで科刑上一罪のところを併合罪にして重く処罰するねん!」と言いたくなる(はず)である。したがって、当初住居侵入のみを起訴していた場合に、牽連犯の関係にある窃盗罪に訴因変更することは可能である。

もう一つ典型的なのは,実体法上両立しないもので,例えば、物を盗み、それをその後に壊したという場合でも、実体法上は、窃盗罪と器物損壊罪は同時に成立しないとされる。この場合,刑法上の理解だと,両方を有罪にすることはできないのに,両方を別々に有罪認定した場合,「実体法上は両立しないのに,なんで両方有罪になるねん」という(正当な)ツッコミが被告人から(きっと)来るであろう。

さらには,ここから難しくなってくるが「事実上」両方の訴因が成り立たない場合にも,「いやいや,両方処罰するのはおかしい」という場合がある。例えば,Aさんから1月1日に1万円を奪ったという事実について,それを11月30日にされた詐欺の実行行為の結果によるとして詐欺罪として処罰し,かつ,1月1日にも被害者を脅したとして恐喝で処罰したとしたら,「奪ったのは1万円なのに,それを詐欺と恐喝で二重に評価するのはおかしくないか?」ということになる。法的にはやろうと思えば両方の犯罪を成立させることはできるが、ここで問題とされているのは1月1日に奪った1万円なのだから、それについて詐欺と恐喝を両立させるのはおかしい。他にも,Aさんを殺すという事態は1度しか生じないから,1月1日にAを殺害したという事実と,たとえその半年後の6月1日にAを殺害したという場合でも,それを両方処罰することは,おかしいだろう。

ここからが学生泣かせの点で,実務を知らない学生にとって,両方の訴因が事実上非両立がどうかをどのようにして判断すればいいのかとても分かりにくい。論文とかには,「検察官の訴追意思」を考慮するとか書いてあるけど,訴因同士をどう頑張って比較してみても、検察官の訴追意思なんてわからないだろう、というように思う人もいるのではないだろうか。中には,「検察官の訴追意思」というマジックワードを使って,訴訟外の一個の事実を想定している学生もいるのでは(それは訴因自体を比較する考え方とは整合しない),なんて疑ってしまう。
おそらく学生が見落としている最も大きな点は,「訴因変更が問題になる時点では,裁判所は証拠調べをそれなりに終えているし,それまでの訴訟経過も把握している」ことであろう。訴訟指揮をしてきて,手元に関係証拠がありさえすれば,訴因変更の請求がきた場合,変更前の訴因と変更後の訴因を比べて,それが事実上両立するかどうかを判断することは,別に難しくない,というわけである。例えば、上で挙げた設例でいうと、問題となっているキャッシュカードが一つであることは、提出された被害届などの関係証拠から明らかである。他にも、覚せい剤の自己使用とかだと、提出された尿鑑定につながる一つの使用行為が問題とされていることは明らかであるから、使用日時場所がそれなりにずれようが、それを二重に処罰しようなんてことにはならない(したがって、使用日時場所が異なる訴因への変更は、当然認められる。)。結局、証拠をみれば、刑罰的関心の前提となる事実が同一であることは、裁判所の目には明らかなのである(これを捉えて、裁判例などでは基本的事実関係が同一である、と言われるのである。つまり、基本的事実関係を検討するのは、事実関係がどれほど似ているかをチェックするものではなく、訴因変更前後の事実につき、刑罰的な関心が同一であるといえるかをチェックしているのである。)。こういうことを言うと,「証拠調べが終わっていない段階で訴因変更が来たらどうするか」という質問が来そうだが,簡単なことで,判断資料がそろうまで,訴因変更の決定を留保すれば足りるわけである。あるいは、目の前にいる検察官に対して、その意図を確認することだってできる。

そんな感じで,「事実上」両訴因が同時に存在しない場合にも,これを両方とも有罪にしたら,被告人はたまったものではないので,刑罰権を1回行使する場面であり,公訴事実の同一性があり,したがって,訴因変更は許される,ということになる。

ただし,この「事実上」両訴因が非両立かという点については,さらに学生を混乱させる例がある。この点については,さしあたり立ち入らず,基礎を固めることを優先した方が身のためだとは思うが,念のため【蛇足】の部分で触れる。

そんなこんなで,1個の刑罰権を行使すべき場合はどんな場面があるかを見てきたけど,これが,昔から論証とかで述べられている「公訴事実の単一性と,公訴事実の狭義の同一性」と一致しているわけである。こうしてみると,わざわざ単一性とか狭義の同一性とか言うまでもなく,変更前の訴因と変更後の訴因が刑罰権の行使という観点から両立しないかどうか,という観点から見ていけばいいということになる(と私は思っている。)。まぁ,つまり,訴因変更の可否は,いわゆる「非両立性基準」で判断すべきだ,と思うわけである。

このような理解を前提とすれば,訴因変更の可否のあてはめは,変更前の訴因と変更後の訴因を比べて,その両方を処罰したらおかしい(=法律上又は事実上非両立)ということを言えばよいということがわかり,あてはめの対象もすっきりするはずである。

以上の理解を前提に,訴因変更の可否についてのあてはめをすると,次のような感じだろうか。

「変更後の訴因は,変更前の訴因に記載されているキャッシュカードの占有を開始した被告人が,それを金銭引き出しを試みるために横領したというもので,事実上の共通性があり,変更前の訴因が成り立つ場合,変更後の訴因は不可罰的事後行為として犯罪を構成しない。したがって,変更前の訴因と変更後の訴因は,刑法上両立せず,基本的事実関係は同一であるから,公訴事実の同一性が認められる。」
「基本的事実関係の同一性」というキーワードを入れる必要は必ずしもないとは思うが,そこはまぁ,判例に書いてあるということで。

【まとめ】
以上の次第で,設例に対する答えをざっくりまとめると,「裁判所は,訴因変更をすることなしには有罪判決を書けないので,訴因変更が必要である。訴因変更が可能かが問題となるが,訴因と裁判所の認定しようとする事実は両立せず,したがって,基本的事実関係が同一といえ,公訴事実の同一性がある。よって,裁判官は,検察官に訴因変更を促したうえで,心証に従った判決をすべきである。」,こんな感じかな。

【蛇足】

事実上の両立性という点について,学生を混乱させる有名な例がある。すなわち,当初過失運転致傷を自白していた被告人が,後で身代わり運転であり過失運転致傷については無罪だと言い始めた場合に,公訴事実の同一性があるか,という例である。同一性がある場合,訴因変更で対応すべきであるし,そうでない場合には,過失運転致傷について無罪判決を出したうえ,犯人隠避で公訴提起をさせるということになる。


この点については,過失運転致傷の事実と身代わり運転の事実は非両立であることは間違いがないのに,訴因変更によるべきではないという説明がされる。これが学生を混乱させる1つの種であろう。

個人的には立ち入る必要はないと思うし,そもそも,個人的には,訴因変更を認めても良いのではないかとすら考えている。例えば,検察官が,身代わり運転という点についての供述の信用性には疑問があるとして,過失運転致傷の訴因を維持したまま,身代わり運転の予備的訴因を追加するという主張をしてきた場合に,訴因の予備的追加を認めない裁判官っているのかなぁというのが素朴な感覚である。検察官的にも、片方の事実が無罪になることを分かりきって両方公訴提起するはずがないだろうし、じゃあ無罪判決を待ってから、別途公訴提起するなんて選択肢、とらんでしょうと。当該裁判で一括処理することが合理的である。しかも、刑罰的関心の前提となる事実関係には、十分な類似性があるといいうるだろう。

私の個人的な感覚はさておき,なぜ上記の場合は
訴因変更によるべきではないとされるのだろうか。混乱させるような言い回しを言うが,あくまで非両立性基準は,「法的な」(言い換えれば、刑罰的関心の)非両立性ということであり,事実関係の論理的非両立性とは異なるということである。上述した例だと,1万円の交付を受けたきっかけとして,詐欺罪と恐喝罪は同時に成立させると、一つの結果を二重評価することになる。同じ人に対する殺人罪が2度成立するということも、同様である。これらは,どんなに事実認定を誤ったとしても,法的には両立させてはならないのである。他方,同じ日時,同じ場所において,同じ車をAとBが別々に運転することは論理的にはあり得ないが,事実認定の誤りによって両方事実認定がされさえすれば,一つの行為や結果を二重評価していることにはならず、法的には両立しなくはない(論理的には両立しないが。)。そうした違いがあるため,上記の場合では,公訴事実の同一性がなく,訴因変更によるべきではない,とされるのである。言い換えると,変更前の訴因と変更後の訴因で,問題となる行為や被害法益が共通していた場合,それを両方処罰すると,一つの行為又は結果を法的に二重に評価することになるから,二重処罰という観点が出てくるが,過失運転致傷と犯人隠避の場合は,過失運転致傷と犯人隠避の基礎となる事実については,一つの行為とか,一つの結果とかいうものではないから,「二重に処罰する」という観点が出てこないのである。過失運転致傷と犯人隠避は,論理的には非両立だが,法的には両立する,ということになる。この微妙な違い,分かるかなぁ。分からなかったら,この問題については忘れた方がいいと思う。限界事例で悩み,基礎をおろそかにするのは,相当ではない。

 

被疑者国選対象事件の拡大はいつから?

***結論だけ知りたい方向け***

結論からいうと,平成30年6月1日です。
これまでは,被疑者国選弁護士の対象事件は,死刑・無期又は長期3年を超える犯罪につき勾留されている被疑者について,国選弁護人が付されていましたが,平成30年6月1日には,勾留されている被疑者全ての被疑者について,国選弁護人を付することが可能となりました(一定の資力要件は必要です。)

***以下,雑談***

 

ふと平成30年の六法を見てみたら、被疑者国選弁護人を選任する対象事件の条文が変わっていた。これまでは、死刑・無期長期三年を超える事件が対象だったが、平成28年の改正により、司法取引が導入されるだけでなく、被疑者国選の対象が、勾留状が発せられた全ての事件になったということは知っていたので、いよいよ変わるのかぁと思った。

ところで、法律が改正された場合、いつから改正後の法律が適用されるようになるのだろうか。せっかくなので、改正刑事訴訟法を例にして、考えてみましょう。

まず、改正法を知らなければ話になりませんので、改正法に当たります。法務省のホームページを参照しましょう(http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji14_00103.html)。
これによれば、刑事訴訟法の一部を改正する法律が、平成28年5月24日に成立し、平成28年6月3日に公布されたことがわかります。

もっとも、公布されれば当然に施行されるわけではなく、改正法には、附則があり、そこにおいて、施行日が明らかにされています。全部を紹介することは面倒なので、国選弁護人の対象範囲に絞って検討しますが、刑事訴訟法の一部を改正する法律2条によって、現行の刑事訴訟法37条の2の「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件について」という文言が削除されています。これによって、被疑者国選の対象が広がったことがわかります。その上で、改正附則1条4号は、刑事訴訟法の一部を改正する法律2条の規定については、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日を施行日としています。

したがって、被疑者国選弁護の対象の拡張は、平成30年6月3日までに制定されるであろう政令によって、その施行日が決められるということになるわけである。

政令をどうやって調べたら良いか?これはおそらく、官報を見るしかないのだろう…
例えば、以下の官報で、刑事訴訟法の一部を改正する法律の一部につき、施行日が定められている。http://www.kantei.go.jp/jp/kanpo/2016/sep.5/h280930/g109300004.html

官報は毎日チェックするわけにはいかんので、結局は、裁判所とかからの公表を待つのが良いんだろうが。

とまぁ、そんなこんなで、普段あまり考えないであろう法律の改正についてでした。

その後の調査で、平成30年3月22日付の官報の号外第58号で、改正附則1条4号関するものにつき,平成30年6月1日を施行日とする政令が出されていたことが判明しました。これにより,冒頭で述べたとおり,平成30年6月1日から被疑者国選対象事件が拡大されることになります。

居酒屋にお客が置き忘れた財布を取った場合、窃盗罪?占有離脱物横領罪?

【事例】
Aらは,深夜,個人Cが経営する小さな居酒屋でお酒を飲んでいた。Aらの隣には,Bらがおり,Bらが先に席を立った。ところが,Bは,自分の席に財布を忘れたまま帰ってしまった。Aらは,そのことに気づき,Bらが返ってこないかを観察し,Bらが返ってから5分後,財布をAのカバンに入れ,その後,店を出て財布の中身を山分けした。Aの罪責は。

【検討】
ここでの問題は、要するに,窃盗罪か占有離脱物横領罪かのどちらが成立するか,であるBが忘れてしまった財布につき、「占有」が認められれば、占有侵害があったとして窃盗罪になり、Bの占有が失われていれば、占有離脱物横領となる。

そこで、「占有」とは、どのようにして判断されるのであろうか。この点については、一般的な解釈は確立しており、刑法上の占有は,財物を事実上支配する状態をいい,その存否は,占有の意思とその客観化としての支配の事実を表す諸事情を総合して社会通念により決せられるが,それは財物に対する現実的な実力行使の可能性と排他性の有無という観点からなされることになるとされる(大コンメンタール刑法第12巻192頁参照)。

この観点から考えれば、まず、Bは、財布を置き忘れ、すでに5分間もたってしまっているので、流石に置き忘れた財布について事実上の支配があるというのは無理があるだろう。

であれば、占有離脱物横領になるのであろうか。ところがどっこい、物事はそんなに簡単ではない。ここで検討したいのは、店主であるCの占有が認められるか否かである。例えば、自分の家の中にあるものについては、たとえその存在を認識していなかったとしても、占有が認められると考えられている。これは、友達が家に忘れていった物を、泥棒が奪っていった場合に、占有離脱物横領罪という人はいないであろうことからも推察される。

そうした観点から、次の裁判例を見てみよう。旅館のトイレに忘れてあった財布につき,旅館の占有が認められるとした裁判例(大審院大正8年4月4日判決)である。

同裁判例の事例は、被告人は,旅館森田において,宿泊していた小林さんが屋内の便所に置き忘れた財布を領得した、というものであった。大審院はこの事例について、要するに、被告人の領得した財布は,所有者小林さんの事実上の支配を離脱したものであるが,小林さんが宿泊していた旅館の主の森田さんの事実上の支配がある旅館内の便所にあったものであり,この事実をもってすれば,森田さんが小林さんが財布を置き忘れたという事実を知っていたか否かにかかわらず,当然,その財布は,森田さんの支配内に属するものというべきである。従って,遺失物横領として論じるのは間違っている、としたのである。

この裁判例は、家に誰かが置き忘れた場合と同様に、旅館においても、その管理者の占有を認めたのである。

他方,誰かが管理する場所に誰かが物を置き忘れたからといって、当然にそのものについて占有があるわけではない。例えば、村役場事務室内に納税者が遺失した金員につき,役場の看守者である村長の占有を否定した事例(大審院大正10年6月18日判決)や,鉄道列車内に乗客が忘れていった毛布に対する常務鉄道係員の占有を否定した事例(大審院大正15年11月2日判決)がある。

これらの事例における結論の違いはなんであろうか。おそらく、占有の意思とその支配関係の強さが違うものと考えられる。役場や電車の中は人の出入りが激しく、利用者が落としていった物について、いちいち管理していられない(もし誰かに拾われたら、管理体制が悪いとか文句を言われかねない!)。他方、旅館の事例では、その旅館の規模は明らかではないが、おそらく、小規模な旅館だったのではなかろうか。そうすると、あたかも自宅に誰かが物を忘れていった場合のように、占有を取得する意思や、支配関係があったとしてもおかしくはない。他方、旅館の規模が大きかったりした場合には、同じように語ることはできないであろう。

結局、占有の定義に即して、丁寧に考えていく他ない、ということだ。当たり前のことだが。

こうした観点から設例を検討すると、居酒屋という場所では、たとえそれが小さいものであったとしても、お客さんが座る空間にある忘れ物についてまで管理しようという意思はないのが通常であろうし、支配関係も弱いものということになろう。他方、キッチンの中とかだと、微妙になってくるかもしれない。

いずれにせよ、設例の事案においては、Cの占有はないと考えるのが通常であり、Aらの罪責は、占有離脱物横領罪ということになる。

・・・別に取り立てて難しい問題じゃなかったかな?まぁ、いいか。

少年事件における証人尋問を実施すべきかどうかの判断基準と参考事例と雑感と。

少年事件では,刑事事件とは異なり,一件記録がすべて裁判所に提出される。そのため,裁判所は,少年が否認する供述をしていても,一件記録上,非行事実は十分認定できるとして,証人尋問を実施しないまま少年を保護処分に付す,という事態が生じる。

 

実際,少年事件においては,刑事訴訟法のような詳細な証拠調べに関する規定はない。他方,最決昭和58年10月26日は,「非行事実の認定に関する証拠調べの範囲,程度,方法の決定も,家庭裁判所の完全な自由裁量に属するものではなく,少年法及び少年審判規則は,これを家庭裁判所の合理的な裁量に委ねた趣旨と解すべきである。」としており,一定の場合には,家庭裁判所が証人尋問を実施しない場合,法令違反となる余地を認めている。

なんにせよ,少年事件において証人尋問を実施するかは,裁判官の「合理的な裁量」に委ねられているわけである。

 

とはいえ,「合理的な裁量」であればよいから,少年や付添人の求めにもかかわらず証人尋問を実施しなかったとしても,ただちに違法にはならない(東京高裁平成17年8月10日決定や,東京高裁平成27年10月26日決定等)。

 

しかし,保護処分も,少年にとっては前歴として残る不利益処分であるから,基本的には,刑事手続と同じように,少年に対して反対尋問の機会を保障するなどして,手続保障を充実させるべきではないだろうか。

 

そうした中,東京高裁平成27年7月8日決定は,窃盗保護事件において,共犯少年らの証人尋問を実施せずに非行事実を認定した原決定の手続には,決定に影響を及ぼす法令違反があるとして,事件を差し戻した。

 

事案を簡単に紹介しよう。少年Aは,B及びCと共謀して,オートバイ1台を盗んだとして家庭裁判所に送致された。オートバイ窃盗の事案である。少年の言い分は,要するに,オートバイを盗んだのはBとCであり,自分は,BとCがオートバイを盗んだあとたまたま合流したにすぎない,というものである。そして,東京高裁の判断は,ごく大雑把にいうと,客観的な証拠からは少年が事件に関与したかは明らかでなく,結局,共犯者BCの供述の信用性評価が最も重要であるが,BCの供述には変遷があるなどし,これを裏付ける客観的な証拠もないから,証人尋問をせずにBCの調書に信用性を認めるのは,やりすぎだ,というものである。

 

原決定は,おそらく,共犯者が最終的には一致して少年が事件に関与していたことを供述していたことを重視していたのではないかと思われる。実際,調書の内容が一致している場合のインパクトは,結構大きい。しかし,そこは調書は調書。しかも,少年の調書である。調書の作成は,一般に,警察又は検察が事情をまんべんなく聴き,それを最後にまとめて読みきかせるという手段で行われる。しかし,20分も30分も事情を聞かれ,その後,一気に目の前の刑事が「きみの話をまとめるね」とかいって,調書を作り始めるのである。そして,おもむろに調書が印刷され,「間違っていたら指摘してください」などといって,渡される。中には,20頁とかにわたる調書がある。これで,内容を正確に読みつく理解して,間違いがあれば指摘した上で調書にサインできる少年(しかも中学生)がどれだけいるだろうか。東京高裁は指摘してない(できない?)が,やはり中学生くらいの少年の調書の信用性は,慎重に考えるべきで,少年が一貫して否認するような場合であれば,比較的柔軟に事情を聴くべきではないか,と思う。

 

他方,東京高裁平成17年8月10日決定の事案とかを見ると,悩ましくなってしまう。同決定の事案は,7歳や13歳の女の子に対する強制わいせつなどであり,女の子らの証人尋問を実施しなかった原決定の手続に法令違反はないとしている。どうやら,少年は,観護措置段階まで事実を認めていたが,途中で否認に転じたようである。さて,7歳とか13歳の女の子に当時のことを思い出して話してもらうことがいいものだろうか。少年は捜査段階では自白していて,その取調べ担当警察官の尋問もしている。この辺りを考えて,尋問を実施しないとすることも,あり得ないものとはいえないのでは。証人が小さい女の子であろうが,少年に不利益処分を科す以上,萎縮してはならない,柔軟に証人尋問をすべきだ,というのが正論なのかもしれないが(なお、川出教授はこの決定は疑問だとしている。やはり、証人尋問をすべきという方向でけんとうすべきなのだろう。)。

 

裁判官は,「合理的な裁量」を行使しなければならない。ただ,何が合理的かというのは,考えると結構難しいものだ。裁判官の仕事は,やはり重責を伴うのだろう。

なんだかんだ言っているが,裁判例を見ていると,合理的な裁量かどうかは,一件記録を精査して,少年の言い分にかかわらず十分事実を認定できるといえるか,疑いが残かを基準に判断するべきもので,疑いが残る場合には,躊躇せず証人尋問をやる,というのが,あるべき姿なのかな,とは思う。

遺産に賃貸住宅とローンがある場合の相続債務負担の在り方

マンション経営をしている相続人が死亡した場合,債務の行方は意外と問題が大きい。

相続が開始した場合,債務は,法定相続分に応じて当然に分割されることになることは,良く知られているところだと思う。では,その準則に従って,次の事例を考えてみよう。

 

【事例】

被相続人Aは,死亡前に相続税対策のため,アパート経営をし始めた。Aは,甲,乙,丙のマンションを建設し,その価値は合計2億円であった。被相続人は,それぞれのマンションに抵当権を設定しており,賃料からローンを返済していた。甲,乙,丙を建設する際のローンは,未だ1億8000万円のローンが残っていた。Aが死亡し,子のBCがAを相続した。長男Bは,Aの賃貸経営を生前から手伝っていたところ,Aは,引き続きBに賃貸経営をさせたいと思い,甲,乙,丙のマンションをBに相続させ,その余の財産は次男Cに相続させるとの遺言をした。Aのその他の財産は,自宅不動産4000万円,預貯金1000万円であった。

 

・・・

 

さて,上記の事例を考えると,Bは,マンション2億円分を相続し,Cは,その他の財産5000万円を取得したことになる。負債が1億8000万円あるため,Aの財産はプラス7000万円であり,Cの遺留分(4分の1)も侵害されていない。

 

この事例で,債務を法定相続分に応じて分割してみよう。そう,Bは9000万円の負担,Cも9000万円の負担ということになってしまうのである。

 

Cとしては,「なんでやねん!」と言いたくなるであろう。兄は2億円の財産を取得した。そして,9000万円の返済も,毎月得られる家賃から返していくことができる。一方,自分は,5000万円の財産を取得しただけど,どうやって9000万円も返済すればいいのやら。父親は資産家だったから,相続によってたくさん利益を得られると思ったのに。こんなことなら相続放棄をすればよかった…なんていう叫びが聞こえてきそうである。

 

中には,上記のような状況を説明して,他の相続人に対して,相続放棄を勧めるような人もいるとかいないとか。

 

・・・

 

「こんなの,おかしくないか?」

 

その感覚は,非常に大事。法律の論点のほとんどは,この素朴な疑問から生まれている。

 

参考判例を一つ上げよう。この事例ズバリではないが。最判平成21年3月24日である。最高裁は,被相続人が,相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた事例について,特段の事情がない限り,相続人間においては当該相続人が相続債務もすべて承継したと解されるとしたのである(本当は遺留分の計算についての判示だが。)。

 

法定相続分を超えた相続させる旨の遺言がされた場合,一般的に,法定相続分を超える部分については,相続分の指定を伴っていると理解されている。そして,相続分の指定がされた場合,指定の効力が相続債務にも及び,共同相続人間の内部関係では,各相続人が相続債務についても指定相続分の割合により承継又は負担すると解されている(上記最判の調査官解説参照)。

 

このような理解を前提にすれば,上記の【事例】では,遺言の解釈で勝負することができる。「この遺言は,相続分の指定を伴っている。だから,債務も,相続分の指定があった部分に限られる。」と主張していく余地がある。例えば,「合計2億5000万円の遺産のうち,Aに2億円(=80%)の遺産を与えている。法定相続分をはるかに超えた額を取得させる内容であり,これには相続分の指定が伴っている。そうである以上,Cが負うべき債務もその限度に限られ,Cが負う債務は,1億8000万円のうちの20%,すなわち3600万円である。」といった感じに。9000万円のところが,3600万円で済めばCもありがたい。

 

さらにやり手の弁護士なら,次のような主張を通すことができるかもしれない。すなわち,「被相続人の債務は,すべてマンション経営に関するものである。被相続人は,その債務を,ずっとマンションの家賃から支払ってきた。つまり,被相続人は,マンション経営をする長男が,マンションの家賃から債務を返還することを予定していたのであり,債務は,甲乙丙を相続したBが100%負担する意思で遺言をしたものである。よって,Cの債務は,0円である。」と。Cとしては,債務が0になったらかなりありがたいであろう。ただ,上記のような主張が通るかは,かなり厳しい。指定相続分という概念を使わない以上,別の理屈が必要であるからである。少なくとも,私は思い浮かばない。

 

もちろん,こういった指定相続分による債務承継は,相続人の間だけの話であり、銀行などの債権者との関係では効力を有さない(銀行としては,勝手に債務者を変えられては困る。)。もっとも、例えば,Cが自分の負担部分よりも多く銀行に支払った場合には,負担を超えた部分につきBに求償をすることができるであろう。

 

とはいえ,結局は遺言の解釈になってくるし,何パーセントの指定があったのかは,そんなに簡単に解釈できるものではない。杓子定規に考えるのではなく,遺言の解釈を慎重に行う必要がある。

 

少なくとも,法定相続分の債務を当然に負わなければならないとは言い切れない点は,知っておいても良いかもしれない。

結局,この記事の題名に対する答えは,


「銀行からローンの支払を求められたら払わないといけません。でも,Bとの関係では、必ずしも法定相続分の額を負担する必要はない可能性がありますよ。」

ということになる。

なお,この分野はまだ明示的な最高裁はなく,明示的に議論がされている書籍にも当たらなかった。結構難しい問題なのかもしれない。