へーつぁんの自由研究日記

うだつのあがらない法曹の日常

裁判所にも経営マインドを

読売新聞の記事で、大学も収益力を求められるようになっている、というものを見た。なんとなく、学問は経済分野から切り離されたところにあり、経済的合理性とは関係なく、じっくりと研究活動、思想活動に従事するものかと思っていたが、最近は、研究成果等をしっかりとアピールして、予算を得ることが重要らしい。学問を一生懸命やっているだけでは、支えてもらえなくなる世の中になっている。

 

別の記事で、国家予算について、歳入の増加も大切だが、歳出について、融資がどの程度効率的なのかを検証し、歳出管理をしていかないといけないというものがあった。上記で述べた大学への視点も、その流れに沿うものだろう。

 

さて、所変わって裁判所だが、裁判所は国家機関であるものの、特に民事訴訟は、経済活動と比較的結びついている。家事事件もそうかな。裁判の迅速化とはよく聞くけど、裁判が遅いってことは、それだけ紛争解決が遅いということで、さまざまな資源を使うことになる。お金だけじゃなく、いろんな意味でのエネルギーも。紛争の早期解決の重要さは、弁護士も当然頭に置かないといけないが、特に裁判官に申し上げたいのは、紛争の早期解決という意識を強く持ってほしいということ。単に期日を乗り切るだけの訴訟指揮をしていると、それだけ国民の経済活動にダメージを与えるということを忘れないでほしい。紛争解決のあり方を念頭に置きつつ、常に当事者をこの時間から解放するためにはどうすればいいかを考えてほしい。

 

だらだらやっていると、国民みんなが頑張っている中、裁判所はなんなんだ!ということになり、ひいては裁判所への信頼をうしないかねない。

 

…とまぁ、この記事はほとんど自分に対する戒めだが。今回の新聞記事を見て、自分がそう思ったってことは、自分に紛争解決の意識が低かったことに気づいたからなんだろう。

 

さー、今日も頑張るぞー。

 

 

 

妻の連れ子を妻と共同で養子縁組した後,妻と離婚,子と離縁したのに,子が未だ戸籍に入ったままなのはなぜ?

本務ではないが,戸籍について少し調べたので備忘録をば。

 

【事例】

田中Aは,父親のしれない子Bを出産し,田中Aは,新戸籍を編成し,Bもその戸籍に入籍した。その後,田中Aは,佐藤Cと婚姻し,佐藤Aと氏を改めた。また,佐藤Aと佐藤Cは,共同でBを養子とした。そのため,Bは,佐藤Cの戸籍に入り,氏も佐藤Bとなった。

その後,佐藤Aは佐藤Cと離婚し,佐藤Aは田中Aへと氏を戻し,新たな戸籍を編成した。さらに,佐藤Cは,佐藤Bと離縁した。この場合,佐藤Cを田中Aの戸籍に入れるためには,どのような手続きが必要か。

 

【検討】

まず,佐藤Cは,もともと田中Aの子であったから,田中Aが佐藤Bと離婚し,さらに,佐藤Bとも離縁したのだから,当然に,田中Aが編成した新戸籍に入籍する,というのが何となくの感覚ではないだろうか。

 

しかし,実はそうではない。民法816条1項は,次のとおり規定している。「養子は,離縁によって縁組前の氏に復する。ただし,配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は,この限りでない。」

 

上記事例でいうと,佐藤Aは,配偶者である佐藤Bと共に佐藤Cを養子としており,佐藤Aと離縁することなく,養親の一方である佐藤Bのみと離縁をしているから,ズバリ民法816条1項ただし書に当てはまる。そのため,佐藤Cは,佐藤Bと離縁をしたとしても,縁組前の氏に復することはない。したがって,佐藤Cは,引き続き佐藤Bの戸籍に入ることになる。全く血縁関係になく,養子でもないのに,引き続き戸籍に入り続けるというのは,違和感しかないが,この違和感は,やむを得ない(なぜやむを得ないかを知りたい人は,昭和62年に民法が改正されて816条1項ただし書が追加した理由を調べてみるとよい。)。

 

結局,佐藤Cが田中Bになるためには,家庭裁判所に行って氏の変更の許可を得る必要があることになる(民法791条1項)。まぁ,この手続自体は,家庭裁判所に行けば案内してもらえるので,心配をする必要はないが。

(参考文献:改訂 設題解説戸籍事務の処理Ⅳ243頁以下)

入れ墨をするのに医師免許を求めることの合憲性

小山剛慶応大学教授の憲法に関する記事(判例時報2360号)を読んでの感想

 

入れ墨を彫るには医師免許が必要であり,医師免許なくして入れ墨を入れた場合,医師法17条に違反する。大阪地裁平成29年9月27日判決は,この結論を認め,被告人を罰金15万円に処したようである。

 

そりゃあ,入れ墨を入れる行為は身体に侵襲をもたらすもので,適当な知識がなければ公衆衛生上問題を生じさせることになるから,入れ墨について全く規制をしないという結論は取りえない。医学的な知識を求めることには,十分な理由があるといえるだろう。ただ,そこで求める資格を「医師」にしてよいのであろうか。

 

医師の資格を取るためには,通常,医学部を卒業し,医師試験に合格することになるが,その過程で得る知識は,多岐にわたる(内科,外科,小児科,産婦人科,精神科等に関連した多岐にわたる知識)。彫り師をするに当たって必要な知識は,そのごく一部に限られるのではなかろうか。

 

例えば,法的な問題については,司法試験があり,それを通って弁護士になった者が扱うのが望ましいであろうが,日本には,法的な問題に関連して,行政書士,司法書士,弁理士等多様な資格が用意されており,それぞれの専門性を発揮しているところである。法的な問題を扱うからといって,弁護士資格を全員取りなさい,ということにはならないであろう。分野を区切って,その分野に合った資格を作ることは,可能であるし,望ましいのではないだろうか。

 

こうした観点から見ると,入れ墨の彫り師について,医師資格を要求するのは,いかにも過大な要求に思えて仕方がない。私は別に入れ墨を入れたいとは思わないが,入れ墨は,歴史のある一つの文化であり,入れ墨を入れることが公衆衛生上問題あるのであれば,彫り師という資格を作って適切に管理していけばよいはずだ。それをしないまま,医師法に反するとして処罰をすることには,どこか違和感を覚える。

 

これを憲法訴訟の観点から見ると,入れ墨についての規制は,いわゆる消極目的規制であるから,厳格な合理性の基準が妥当する。そして,入れ墨を入れる行為につき医師資格を要求することには,合理的な関連性があるといえるものの,より制限的でない規制方法は十分に存在するといえるのではなかろうか。

 

そうすると,基本的には,彫り師を医師法17条違反として処罰することは,憲法に反するおそれが高いといってよいのではなかろうか。憲法違反という結論になる事例は,そうないが,この事例はその疑いが高いように思われる。

 

もっとも,担当裁判官の立場に立ってみたら,結構困るかもしれない。上記の理屈で,医師法17条が憲法に違反しているという結論を導くのは,めちゃくちゃ厳しいように思える一方で,被告人が医師法17条に違反していることは明らかである。無罪の判決を出すには,医師法17条自体は合憲だが,適用違憲ということになるのだろうが,結構勇気のいる判決かもしれない。

 

いろいろな立場と考えが複雑に絡み合う論点の一つだ。

相続放棄の錯誤無効?ー勘違いして相続放棄をしてしまったらとても大変ー

【設例】

Aの両親BCは,Aが幼いころに離婚し,Aは,母親Cによって女手一つで育てられた。数十年後のある日,Aは,Bの後妻Dから,Bが死亡し,目立った財産もないので,相続放棄をしたらどうかとの連絡を受けた。Aは,Bとは全く連絡も取っておらず,Bに何の愛着もなかったので,Dの勧めに従い,相続放棄をした。ところが,間もなく,Bが宝くじを当てており,遺産が3億円あまりあることが判明した。Bはこのことを内緒にしており,Dもそのことを知らなかった。Aは自らがした相続放棄を撤回することができるであろうか。

 

【解説】

相続放棄は,一度してしまうと,原則として,取り消すことができない(民法919条1項)。しかし,民法総則又は債権の規定によれば,放棄の取消しをすることができる(同条2項本文)。ただし,その取消権は,追認をすることができるときから6か月で時効により消滅し,10年間の除斥期間にかかる(同項ただし書)。

 

さて,【設例】においてAが言いたいのは,「遺産がないと思っていたのに,実際にはあった」というもので,これは錯誤(民法95条)の主張ということになる。錯誤の法律効果は,「無効」である。さて,これにより,相続放棄の「取消」ができるのであろうか。

残念なことに,裁判所はこの申述を認めない。福岡高裁平成16年11月30日決定(判タ1182号320頁)を参照しよう。事案を簡単にして説明すると,父親が亡くなり,母親に全財産を相続させようとして,子らが全員相続放棄をしてしまったがために,民法の規定に従い,第3順位であった被相続人の兄弟姉妹(被相続人とはほとんど交流がなかった)に遺産が分散してしまったというケースである。子らとしては,たまったものではなかったので,相続放棄の取消しの申述をした。

ところが,福岡高裁は,この申述を却下した原決定を是認した。つまり,錯誤無効は,無効であり,民法919条2項にいう「取消」には該当しないし,そもそも相続放棄の申述が受理されても,それを別途争うことは妨げられないから,相続放棄の無効を受理しなければならない必要性はない,というのである。

要するに,別途訴訟で争いなさいということである(ちなみに,新版注釈民法471頁も,立法的な手当が必要であることを示唆しているところであり,この高裁決定を覆すことは,困難であろう。判例タイムズ1100号308頁も同様の見解である。)

この高裁決定を前提とすると,【設例】の事案は,細かい検討をするまでもなく,残念ながら相続放棄の取消しは認められず,別途訴訟などで争いなさいということになる。

結局,お父さんが亡くなったけど,とりあえず遺産はお母さんに相続させよう,という場合には,決して相続放棄という手段をとってはならない。遺産分割協議をすべきだ,ということになる。

ただし,繰り返し述べているとおり,相続放棄の申述が無効だとして争うこと自体は何ら禁じられない。そのため,とりあえずは相続放棄の申述が受理されたとしても,それは無効だときちんと説明できるような資料はしっかりと残しておこうということになる。

さて,そうすると,どのような場合に相続放棄が無効となるかを検討しておく意義はある。その際に参考にすべきは,やはり最高裁昭和40年5月27日第一小法廷判決である。

 

事案を(かなり)改変して説明すると,次のような感じである。

被相続人Aが死亡し,その相続人は,Aの妻B,Aの子C,Dであった。相続人らは,長男であるCに財産を相続させようとし,B,Dは,相続放棄の申述をした。ところが,Dは,気が変わりすぐに申述を取り下げたため,結局Bの相続放棄の申述のみ受理された。この結果,Aの遺産は,CとDが2分の1ずつ相続することになった。Bは,Dが相続放棄の申述を取り下げることを知っていたら,相続放棄をしなかったとして,自己の相続放棄は無効だと主張した。

 

原審は,Bによる相続放棄はDの相続放棄とは別個にそれと無関係になされたものというべきであり,BがDが相続放棄をしてくれるであろうとの期待の下に相続放棄をなしたのは縁由の錯誤にすぎず要素の錯誤があるということはできないとしたところ,最高裁は,これについて,上記の相続放棄に関するBの錯誤は単なる縁由に関するものにすぎなかった旨の原審の判断を是認した。

 

【設例】についてはどう考えるべきであろうか。この点,豊富な相続財産であるにもかかわらず債務超過と誤診して相続放棄をした場合は動機に錯誤がある場合にすぎないとする学説が有力(近藤英吉・相続法論下692頁),というか通説ではなかろうか。これによると,【設例】の場合には,残念ながら相続放棄の撤回というか取消は認められないということになる。

 

相続放棄までには3か月間あるから,しっかりと相続財産はチェックするのが相続人の責任であり,その結論は,まぁ,やむを得ないであろう。なお,先ほどの福岡高裁の例では,要素の錯誤が認められるものと思われる。相続放棄の意思表示は,実質的には相続分の譲渡の意思表示であり,その法的な効果につき重大な錯誤があると考えられるからである(新版注釈民法464頁も参考に)。

まとめると,勘違いで相続放棄をしてしまった場合,もはや相続放棄の取消しという手続を踏むことはできず,交渉又は訴訟にならざるを得ないわけである。争うことは不可能ではないが,非常に煩雑になってしまうし,不確定要素が多くなってしまう。

相続放棄は,くれぐれも慎重に…

法律学はRPGとよく似ている

法律の初学者は,法律ってよく分からない難しい,どう答案を書いてよいか分からないというイメージを持っているかもしれない。

 

そこで敢えて言おう,法律学はRPGに似ている。例えば,ドラクエⅢでラーミアをよみがえらせたい場合には,世界中に散らばる7つのオーブを集めなければいけない。ゼルダの伝説神々のトライフォースでは,マスターソードを手に入れるためには3つの紋章を集めなければならない・・・等なんでもよい。RPGでは,あるアイテムやダンジョンをクリアするためには,一定の必要な要素を集めなけれあならない。

 

法律学は,これに非常によく似ている。民法でいうと,ある一定の法律効果(損害賠償請求権とか)を求める場合には,それに必要とされる法律要件(権利侵害,故意過失,損害,因果関係)を満たさなければならない。刑法でいうと,ある一定の刑罰権(窃盗罪とか)の発動を求める場合には,それに必要とされる法律要件(他人の物を窃取する)が満たされなければならない。

 

勉強すべき対象は,ある法律効果を求める場合,その効果を発揮させるには,どのようなものを集めればよいのか,なのである。例えば,RPGでは,「ラーミアを復活させるには7つのオーブを集める」ことになるが,法律学では,「貸した金を返してもらうには,消費貸借契約の成立と返還の条件成就を基礎づける事実を集める」ということになるわけである。そこで,消費貸借契約の成立要件とかをしっかり理解すべきということになる。この順番を忘れないでほしい。

 

法学部生は,論点が大好きである。それは悪いことではない。しかし,実務家になると,事件に対する結論とその理由を出すことが最も重要となる。そして,実務家の思考方法は,「依頼者の求めるものはなにか」「それはどのような法律効果によって満足させられるか」「その法律効果を認めるには,いかなる法律要件が必要か」「この法律要件を満たすためには,この論点をどう解釈すべきか」というものである。おそらく例外はないであろう。

 

「事案の解決に必要だから,論点を書く。」この言葉の意味が真に理解できたとき,飛躍的に法律学が得意になるであろう。

 

大麻の使用を禁止することは法制度としては当然

昨今,少年事件においても,大麻使用の事件がちらほらみられる。その少年らの意見としてたまにあるのが,「大麻の害はタバコやアルコールよりも低い。大麻は合法化されている国もある。規制する日本の制度がおかしい。」というものである。断片的な情報を集めて自己の行為を正当化しようとしているもので,困ったものである。

まず,大麻に含まれるTHCが体内でカンビノイドになり,脳に直接作用するわけで,大麻を使用した場合の薬効がある。いわゆるハイになるという状態である。こうした神経作用があるのにこれを一切規制しないという方がどうかしている。大麻は一部において合法化されている国もあるけど,合法化されている国でも,一定の規制の下に使用が認められているにすぎないし,そもそも,合法化されているのは「一部」であり,禁止されている国もいくらでもある。大麻の使用を禁止するのがおかしいというのは,一部の制度を過度に一般化するもので,論理の飛躍がある。医療用大麻もあるとかいうが,医療用大麻も規制の下に使用が認められているわけで,自由使用が認められているわけではなく,いわんや,少年たちがどこからともなく手に入れてきた大麻を自由に吸っていいなんていうことにはならない。

結局,「大麻を規制する必要はある。」という点について争いはほとんどなく,「それをどの程度規制するのか」という程度問題に争いがあるのである。日本は,その規制の程度を「使用を禁止する」というものを選んでいるのであり,その選択は,他の国もとっているもので,既に一定の合理性が推測されるし,神経に影響を及ぼす物質については,基本的に禁止し,一定の効用やその他使用につき必要性や許容性があるものを,規制の下で使用を許すという方向性は,法制度としては当然のものである。

 

大麻については,一部の大麻使用者を除いて,何らの必要性や許容性が認められていない以上,使用を禁止することについては何らの誤りはない。大麻の害の少なさについて,アメリカの研究を根拠に,タバコやアルコール,はたまたカフェインとかと比べたがるが,説得力はない。タバコやアルコール,カフェインは文化的背景に根差したもので,一定の有害性を有するとしても,使用につき必要性許容性は十分にある(煙草については今後無くなっていくかもしれないが。)。また,依存性が少ないとかいうけど,依存性が少ないことが規制しなくともよいという理由にはならないし(極端な例をいうと,青酸カリに依存性がないから規制しなくともよいということにはならない。),致死量に至ることがないというのも,死ななかったらいいものでもない。そもそも,規制されているにも関わらずここまで乱用が広がってしまうような物質を,規制しないという選択肢をとる方がどうかしている。また、アメリカの研究結果が正しいという前提もおかしい。数百年前までは天動説が通説であったような世の中である。20世紀後半の研究結果につきどこまで正しいと言い切れるだろうか。

 

大麻の薬効に着目し,その使用の必要性許容性を検討し,大麻の使用を禁止するという法制度は,十分正当であり,いかなる意味においても,法制度として,大麻の使用を認めることは,現在の日本ではあり得ない。だからこそ国会でも無視されるし,私も大麻使用を合法化すべきだという立場を相手にする必要はないと考えている。

 

なお,中にはTHCを規制すべきであり,「大麻」を規制するのはおかしいという立場もある。これは傾聴に値する見解のようにも思われるが,慎重に検討する必要はあるだろう。

養子縁組の流れ~基本編~

【設例】

AB夫妻は,共働きの夫婦で子供1人を養育していた。ある日,Aの兄Cが過労により精神障害を発症してしまい,治療のため,子供D(2歳)に対する養育を充分にすることができなくなってしまった。AB夫妻は,Dのことを可愛そうに思い,Dを養子に迎え,AB夫妻で育てたいと考えている。AB夫妻はどのような手続を踏むことになるだろうか。

 

【検討】

こうした場面で活用を検討されるべきが,養子縁組である。養子については,養親の嫡出子としての身分を取得する(民法809条)。つまり,実の子と同じ権利義務を負うことになるわけである(身上監護権,相続権等)。

 

なお,養子縁組をした場合でも,実親との身分関係が解消されるわけではないため,例えば,実親の相続権はいまだ保持することになるし,実親は,子に対してはなお扶養義務を負うことになる(この例外が特別養子縁組であるが,ここでは割愛する。)。

 

ところで,夫婦が未成年者を養子とする場合には,夫婦共同で養子縁組をしなければならない(民法795条)。また,養子縁組は,合意によってされるものであるが,設例のような2歳の子に養子縁組をする意思能力があるはずがない。こうしたことを考慮され,養子となる者が15歳未満であるときは,その法定代理人が,養子となる者に代わって,縁組の承諾をすることができるとされる(民法797条)。さらに,未成年者を養子にする場合,家庭裁判所の許可を得なければならない(民法798条)。不当な目的で未成年者がやり取りされることを防止する趣旨である。

以上の規定からすると,AB夫妻は,Cに養子縁組をすることについて承諾をする旨の書面を書いてもらった上で,家庭裁判所に対して,AB共同で養子縁組の許可の申立てをすることになる(例に従って,その書式は裁判所HPに掲載されているので,それに記載すればよい。その他戸籍等が必要になし,どこの裁判所に申し立てるかという問題もあるが,裁判所HPを参照。)。

 

裁判所は,申立書を審査した後,通常は,家庭裁判所調査官という心理学等の知見がある専門職に対して,調査を命ずる。職権主義の表れである。家庭裁判所調査官は,子供,実父母,養子縁組を申立てた者に対して面会等をして調査をし,調査報告書を作成する(家事事件手続法161条3項参照)。その上で,裁判官が,子の福祉の観点から問題がないかを審査し,問題がなければ,許可の審判をする,という流れになる。

 

その上で,ABは,市役所などに行って,養子縁組の届出をする,という流れになる。

関連していろんな論点はあるが,今回は基本編。