へーつぁんの自由研究日記

うだつのあがらない法曹の日常

法律学はRPGとよく似ている

法律の初学者は,法律ってよく分からない難しい,どう答案を書いてよいか分からないというイメージを持っているかもしれない。

 

そこで敢えて言おう,法律学はRPGに似ている。例えば,ドラクエⅢでラーミアをよみがえらせたい場合には,世界中に散らばる7つのオーブを集めなければいけない。ゼルダの伝説神々のトライフォースでは,マスターソードを手に入れるためには3つの紋章を集めなければならない・・・等なんでもよい。RPGでは,あるアイテムやダンジョンをクリアするためには,一定の必要な要素を集めなけれあならない。

 

法律学は,これに非常によく似ている。民法でいうと,ある一定の法律効果(損害賠償請求権とか)を求める場合には,それに必要とされる法律要件(権利侵害,故意過失,損害,因果関係)を満たさなければならない。刑法でいうと,ある一定の刑罰権(窃盗罪とか)の発動を求める場合には,それに必要とされる法律要件(他人の物を窃取する)が満たされなければならない。

 

勉強すべき対象は,ある法律効果を求める場合,その効果を発揮させるには,どのようなものを集めればよいのか,なのである。例えば,RPGでは,「ラーミアを復活させるには7つのオーブを集める」ことになるが,法律学では,「貸した金を返してもらうには,消費貸借契約の成立と返還の条件成就を基礎づける事実を集める」ということになるわけである。そこで,消費貸借契約の成立要件とかをしっかり理解すべきということになる。この順番を忘れないでほしい。

 

法学部生は,論点が大好きである。それは悪いことではない。しかし,実務家になると,事件に対する結論とその理由を出すことが最も重要となる。そして,実務家の思考方法は,「依頼者の求めるものはなにか」「それはどのような法律効果によって満足させられるか」「その法律効果を認めるには,いかなる法律要件が必要か」「この法律要件を満たすためには,この論点をどう解釈すべきか」というものである。おそらく例外はないであろう。

 

「事案の解決に必要だから,論点を書く。」この言葉の意味が真に理解できたとき,飛躍的に法律学が得意になるであろう。