へーつぁんの自由研究日記

うだつのあがらない法曹の日常

「伝え方が9割」から学んだこと

だらだら本を読んでも自分のものにはならない,ということで,本を読んで学んだことをメモに残すシリーズ。今回は,伝え方が9割という本。

冒頭の例を読んで,この本に興味が沸いた。すなわち,こちらに興味がない人をデートに誘いたいときに,「デートしてください」と言っても,まず撃沈するが,「驚くほど旨いパスタの店があるのだけど,行かない?」といえば,確率がぐんと上がる,というものだ。結局やることは変わらないのに,誘い方だけで成功率は全然違いそうだ。このように,実は,自分は,ものの言い回しでいろいろと損をしているのではないかと思い,伝え方について考えないとなぁと思った。実際,「人にものを伝える」というのは,とても人生にインパクトがあるものなのに,それについてきちんと学ぶ機会というのはなかった。作者は,その伝え方の技術を教えてくれるというのである。そういう意味で,興味の沸く本である。

まずお願いごとをする際の技術。最悪なのは,自分の要望をそのまま言葉にすることだ。上記の「デートして下さい」がまさにそれに当てはまる。デールカーネギーの「人を動かす」にもあったとおり,人は,自分のやりたいことをやりたいのだ。だから,相手がどういう思考をするだろうかをきちんと想像することが大事である。その上で,相手のニーズに合った提案をする。上記の例では,イタリアンに誘っているが,これが一つの例である。つまり,「何かを求めたいときには,どう提案すれば相手はYESと言ってくれるかを考える」,ということである。カーネギーの本でも,「イエスと答えられる問題を選ぶ」という原則が紹介されていたが,まさに同じことであろう。

そうはいっても,相手の思考方法を想像して,それにあったものを提案するのは,そう簡単ではない。なので,その際の視点を持っておくとよい。この辺りは,いろいろな本でいわれていることの応用で,やはり,相手の承認欲求を満たしたり,相手に重要感を持たせたり,相手が主体的に選択していると思わせることが重要だ。例えば,上記のデートの例のように,相手が好きそうなものについて触れた上で提案をすれば,相手は自分にもメリットがあると思うようになる。あるいは,提案を受け入れなければデメリットを受けるようになることを明示するなどなど。

こういうことを言うと,伝え方っていうのは,テクニックなんだなぁと思ってしまうかもしれない。確かに,伝え方には技術もあるが,結局は,お願い事をするときには,相手のことを思いやることが大事で,相手のことを思いやれば,自然といくつかのテクニックを実践する結果となると思う。

結局,「相手を感動させるにはどうすればよいか」ということを常に考えながら,自分の言葉を紡いでいくことが大事なのだろう。その時に,少しのスパイスとして,言い回しの工夫を知っておくとさらに効果的,ということだ。