へーつぁんの自由研究日記

うだつのあがらない法曹の日常

従業員が不法行為の被害者に対して損害賠償を支払った場合,従業員は,会社に対して一部補償を求めることができるか

最高裁令和2年2月28日第二小法廷判決 【事案】X 貨物運送業の会社Y Xの社員(トラック運転手) Yが,配送業務作業中,不注意によりAをはねてしまい,死亡させてしまった。Aの相続人であるBは,Xに対して使用者責任に基づく損害賠償請求訴訟を提起し,Xは…

「伝え方が9割」から学んだこと

だらだら本を読んでも自分のものにはならない,ということで,本を読んで学んだことをメモに残すシリーズ。今回は,伝え方が9割という本。 冒頭の例を読んで,この本に興味が沸いた。すなわち,こちらに興味がない人をデートに誘いたいときに,「デートして…

成年後見人が気に入らない!変更ってできないの?

【設例】 東京に住んでいた私の母に対して、私の知らない間に、成年後見が開始されていました。母の成年後見人として、東京の弁護士が選任されたそうです。ところが、母は、突然、私が住んでいる広島県の施設に入所したいと言い出しました。そのため、現在、…

お金2.0の感想

今、経済がかわろうとしている。これまでの資本中心の資本主義から,資本より広い概念である価値を軸とする価値社会へとシフトしていく。 社会は、その時々の技術レベルを前提として、人間の経済的事情・社会的観点によって変化する。これまで、「貨幣」が経…

新司法試験合格者が約10年ぶりに新司法試験の択一式を解いてみた

ここのところ風邪気味で,コロナウイルスの状況を踏まえると,土日に外に出るのは差し控えたい。そこで,ちょっと時間ができたので,Youtubeの「東大生が○○してみた」という企画みたいに,択一試験を解いてみようと思う(突然)。【新司法試験の択一式試験に…

感想ー自分の頭で考えて動く部下の育て方

キンドルアンリミテッドで見つけた本の感想を勝手に書いていくシリーズ。今回は,部下の育て方についていろいろ考えてみたい。自分は別に上司ではないが,将来は上司になる可能性があるし,それに部下の視点で見てみるのも面白いかと思い。 さて,部下の育て…

債権法改正~債権者代位権について

債権法改正における債権者代理権を,今更ながら復習してみよう。もともと債権者代位権は,現行法上,423条が1か条定めているだけのものであるにもかかわらず,判例によってさまざまなルールが設定されており,債権総則を学ぶ際にも大きなトピックの中の…

刑事裁判において,高等裁判所は地裁の無罪判決を証拠調べすることなく逆転有罪にできるか(最高裁令和2年1月23日判決)

【事案】地裁判決:窃盗1件,詐欺1件,詐欺未遂3件については有罪。その一方,家電量販店で不正な身分証明書を利用してクレジットカードを発行し,商品を購入したという詐欺事件については,犯人であるとする立証がないとして,無罪とした。 これに対し,…

婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚した場合における婚姻費用分担請求権の消滅の有無(最高裁令和2年1月23日決定)

【事案】平成30年5月 妻→夫 婚姻費用分担調停の申立て平成30年7月 妻・夫 離婚の調停が成立(財産分与の合意なし) 同日 妻・夫 婚姻費用分担調停について不成立→審判移行 ↓つまり,婚姻費用分担調停の申し立てがあったが,その結果が出ていない段階で…

はじめてのやせ筋トレの感想

今年に入ってから筋トレに目覚めている。ジムに通い、いろいろと試行錯誤する日々だが、初心者にとって意外とわかりにくいのが、「どうやって筋トレすればいいの?」というもの。ダンベルの群れの前で途方に暮れ、とりあえずYouTubeの動画を見様見真似してみ…

「何者」の感想

月2冊は専門書以外の書籍をを読もうということで、今月2冊目の本の感想。朝井リョウの「何者」。 読売新聞でおすすめされていたので、Kindleで購入。購入の動機は、就職活動に関する心の動きとかを見てみたかったから。 あらすじは、主人公が、友人らと一緒…

最近読んだの自己啓発系の本の特徴から考える法曹の使命

最近,YOUTUBEで便利な動画が上がっている。本のまとめシリーズだ。サラタメさんとかアバタローさんとか,いろいろな人が本の要点を簡潔に教えてくれる。 それを踏まえてもう少し知りたいなぁと思った時に,キンドルで本をその場で購入できる。便利な世の中…

THE TEAM 5つの法則の感想

今回は、チームの力をより強くするためにはどうすれば良いかということで、標記の本を読んでみた。 正直、私はチームワークが苦手だ。また、なぜ苦手なのかもよくわからない。現状、チームでの仕事をするときに、自分の立ち位置がよくわからなくなることがあ…

副本条項(Counterparts Clause)が分からないので調べてみた

英文契約書の中で、counterparts条項がある。いろいろな本を読んでも今ひとつ意味がわからなかったので、ノートにまとめておくことにする。 【サンプル条項】this agreement may be executed in one or more counterparts, each of which shall be deemed an…

法律についての説明の順序

いろいろと人に説明することが多いが、幸い、説明が上手だと褒めてもらえることはちょいちょいある。 そのため、法律の説明をする際に、ちょっと心掛けていることをメモしておく。 法律を理解するステップとしては、大まかに行って4段階あると思っている。 S…

仕事は楽しいかねを読んでみた

Kindleアンリミテッドにふと登録してみたところ、「仕事は楽しいかね」という本にでくわした。 まぁ、ランキングに載っていたくらいだから有名な本なんだろうが。その感想をば。この本のエッセンスを簡単にまとめると、「考える暇があればとりあえずやってみ…

メールの書き方のお勉強

仕事上、メールをすることは多いが、メールはどうも苦手だ。どうも後手後手に回ってしまう。 そこで、苦手意識を克服するためのワンステップとして、メールの書き方についての本を1冊(だけ)読んだので、概要だけまとめておく。 ポイント:メールのやり取り…

法の支配とは

法学を学ぶ人、そうでない人も含め、「法の支配」という言葉を聞いたことがある人は多いだろう。 みんな大好きWikipediaによれば、「法の支配(ほうのしはい、英語: rule of law)は、専断的な国家権力の支配を排し、権力を法で拘束するという英米法系の基本…

ポピュリズムの台頭

米国で中間選挙の結果がいよいよ明らかになろうとしている。最近の世界情勢をみていると、ポピュリズムが台頭してきたと感じる。ドイツでは難民排斥を掲げる政党が勢力を伸ばしているし、トランプ大統領も、移民排斥を訴えたり、メディアを執拗に攻撃し、い…

裁判官が持つべき感覚

読売新聞の記事で、大学も収益力を求められるようになっている、というものを見た。なんとなく、学問は経済分野から切り離されたところにあり、経済的合理性とは関係なく、じっくりと研究活動、思想活動に従事するものかと思っていたが、最近は、研究成果等…

妻の連れ子を妻と共同で養子縁組した後,妻と離婚,子と離縁したのに,子が未だ戸籍に入ったままなのはなぜ?

本務ではないが,戸籍について少し調べたので備忘録をば。 【事例】 田中Aは,父親のしれない子Bを出産し,田中Aは,新戸籍を編成し,Bもその戸籍に入籍した。その後,田中Aは,佐藤Cと婚姻し,佐藤Aと氏を改めた。また,佐藤Aと佐藤Cは,共同でBを養子とし…

入れ墨をするのに医師免許を求めることの合憲性

小山剛慶応大学教授の憲法に関する記事(判例時報2360号)を読んでの感想 入れ墨を彫るには医師免許が必要であり,医師免許なくして入れ墨を入れた場合,医師法17条に違反する。大阪地裁平成29年9月27日判決は,この結論を認め,被告人を罰金15…

相続放棄の錯誤無効?ー勘違いして相続放棄をしてしまったらとても大変ー

【設例】 Aの両親BCは,Aが幼いころに離婚し,Aは,母親Cによって女手一つで育てられた。数十年後のある日,Aは,Bの後妻Dから,Bが死亡し,目立った財産もないので,相続放棄をしたらどうかとの連絡を受けた。Aは,Bとは全く連絡も取っておらず,Bに何の愛…

法律学はRPGとよく似ている

法律の初学者は,法律ってよく分からない難しい,どう答案を書いてよいか分からないというイメージを持っているかもしれない。 そこで敢えて言おう,法律学はRPGに似ている。例えば,ドラクエⅢでラーミアをよみがえらせたい場合には,世界中に散らばる7つの…

大麻の使用を禁止することは法制度としては当然

昨今,少年事件においても,大麻使用の事件がちらほらみられる。その少年らの意見としてたまにあるのが,「大麻の害はタバコやアルコールよりも低い。大麻は合法化されている国もある。規制する日本の制度がおかしい。」というものである。断片的な情報を集…

養子縁組の流れ~基本編~

【設例】 AB夫妻は,共働きの夫婦で子供1人を養育していた。ある日,Aの兄Cが過労により精神障害を発症してしまい,治療のため,子供D(2歳)に対する養育を充分にすることができなくなってしまった。AB夫妻は,Dのことを可愛そうに思い,Dを養子に迎え,A…

熟年離婚における老後の年金額の格差をなくすための手続(年金分割)

【設例】 A(昭和35年生まれ)とB(昭和40年生まれ)は,平成3年1月1日に婚姻した。Aは,婚姻中,会社で勤務し,平均して年収600万円を得ていた。Bは,パートで働き,平均して年収150万円を得ていたほか,家事育児を主に担当していた。ところが…

訴因変更の可否について自分が理解するところ

訴因変更の可否って難しいですよね。正直学生の頃は全然理解していませんでした。そこで,復習の意味も込め,実務の経験を踏まえて自分なりに整理してみました。異様に長いですが,訴因変更の可否が分からないという方に少しでも参考になればと思います。た…

改正刑事訴訟法-被疑者国選弁護人の対象事件が拡大されるのはいつから?

***結論だけ知りたい方向け*** 結論からいうと,平成30年6月1日です。これまでは,死刑、無期又は長期3年を超える懲役又は禁錮に当たる犯罪につき勾留されている被疑者について国選弁護人を付すことしかできませんでしたが、平成30年6月1日からは,…

居酒屋にお客が置き忘れた財布を取った場合、窃盗罪?占有離脱物横領罪?

【事例】Aらは,深夜,個人Cが経営する小さな居酒屋でお酒を飲んでいた。Aらの隣には,Bらがおり,Bらが先に席を立った。ところが,Bは,自分の席に財布を忘れたまま帰ってしまった。Aらは,そのことに気づき,Bらが帰ってこないかを観察し,Bらが帰ってから…