へーつぁんの自由研究日記

うだつのあがらない法曹の日常

債権法改正~債権者代位権について

債権法改正における債権者代理権を,今更ながら復習してみよう。もともと債権者代位権は,現行法上,423条が1か条定めているだけのものであるにもかかわらず,判例によってさまざまなルールが設定されており,債権総則を学ぶ際にも大きなトピックの中の…

刑事裁判において,高等裁判所は地裁の無罪判決を証拠調べすることなく逆転有罪にできるか(最高裁令和2年1月23日判決)

【事案】地裁判決:窃盗1件,詐欺1件,詐欺未遂3件については有罪。その一方,家電量販店で不正な身分証明書を利用してクレジットカードを発行し,商品を購入したという詐欺事件については,犯人であるとする立証がないとして,無罪とした。 これに対し,…

婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚した場合における婚姻費用分担請求権の消滅の有無(最高裁令和2年1月23日決定)

【事案】平成30年5月 妻→夫 婚姻費用分担調停の申立て平成30年7月 妻・夫 離婚の調停が成立(財産分与の合意なし) 同日 妻・夫 婚姻費用分担調停について不成立→審判移行 ↓つまり,婚姻費用分担調停の申し立てがあったが,その結果が出ていない段階で…

はじめてのやせ筋トレの感想

今年に入ってから筋トレに目覚めている。ジムに通い、いろいろと試行錯誤する日々だが、初心者にとって意外とわかりにくいのが、「どうやって筋トレすればいいの?」というもの。ダンベルの群れの前で途方に暮れ、とりあえずYouTubeの動画を見様見真似してみ…

「何者」の感想

月2冊は専門書以外の書籍をを読もうということで、今月2冊目の本の感想。朝井リョウの「何者」。 読売新聞でおすすめされていたので、Kindleで購入。購入の動機は、就職活動に関する心の動きとかを見てみたかったから。 あらすじは、主人公が、友人らと一緒…

最近読んだの自己啓発系の本の特徴から考える法曹の使命

最近,YOUTUBEで便利な動画が上がっている。本のまとめシリーズだ。サラタメさんとかアバタローさんとか,いろいろな人が本の要点を簡潔に教えてくれる。 それを踏まえてもう少し知りたいなぁと思った時に,キンドルで本をその場で購入できる。便利な世の中…

THE TEAM 5つの法則の感想

今回は、チームの力をより強くするためにはどうすれば良いかということで、標記の本を読んでみた。 正直、私はチームワークが苦手だ。また、なぜ苦手なのかもよくわからない。現状、チームでの仕事をするときに、自分の立ち位置がよくわからなくなることがあ…

Counterparts条項が分からないので考えてみた

英文契約書の中で、counterparts条項がある。本を読んでも今ひとつわからなかったので、ノートにまとめておくことにする。 例文this agreement may be executed in one or more counterparts, each of which shall be deemed an original, but all of which …

法律についての説明の順序

いろいろと人に説明することが多いが、幸い、説明が上手だと褒めてもらえることはちょいちょいある。 そのため、法律の説明をする際に、ちょっと心掛けていることをメモしておく。 法律を理解するステップとしては、大まかに行って4段階あると思っている。 S…

仕事は楽しいかねを読んでみた

Kindleアンリミテッドにふと登録してみたところ、「仕事は楽しいかね」という本にでくわした。 まぁ、ランキングに載っていたくらいだから有名な本なんだろうが。その感想をば。この本のエッセンスを簡単にまとめると、「考える暇があればとりあえずやってみ…

メールの書き方のお勉強

仕事上、メールをすることは多いが、メールはどうも苦手だ。どうも後手後手に回ってしまう。 そこで、苦手意識を克服するためのワンステップとして、メールの書き方についての本を1冊(だけ)読んだので、概要だけまとめておく。 ポイント:メールのやり取り…

法の支配とは

法学を学ぶ人、そうでない人も含め、「法の支配」という言葉を聞いたことがある人は多いだろう。 みんな大好きWikipediaによれば、「法の支配(ほうのしはい、英語: rule of law)は、専断的な国家権力の支配を排し、権力を法で拘束するという英米法系の基本…

ポピュリズムの台頭

米国で中間選挙の結果がいよいよ明らかになろうとしている。最近の世界情勢をみていると、ポピュリズムが台頭してきたと感じる。ドイツでは難民排斥を掲げる政党が勢力を伸ばしているし、トランプ大統領も、移民排斥を訴えたり、メディアを執拗に攻撃し、い…

裁判官が持つべき感覚

読売新聞の記事で、大学も収益力を求められるようになっている、というものを見た。なんとなく、学問は経済分野から切り離されたところにあり、経済的合理性とは関係なく、じっくりと研究活動、思想活動に従事するものかと思っていたが、最近は、研究成果等…

妻の連れ子を妻と共同で養子縁組した後,妻と離婚,子と離縁したのに,子が未だ戸籍に入ったままなのはなぜ?

本務ではないが,戸籍について少し調べたので備忘録をば。 【事例】 田中Aは,父親のしれない子Bを出産し,田中Aは,新戸籍を編成し,Bもその戸籍に入籍した。その後,田中Aは,佐藤Cと婚姻し,佐藤Aと氏を改めた。また,佐藤Aと佐藤Cは,共同でBを養子とし…

入れ墨をするのに医師免許を求めることの合憲性

小山剛慶応大学教授の憲法に関する記事(判例時報2360号)を読んでの感想 入れ墨を彫るには医師免許が必要であり,医師免許なくして入れ墨を入れた場合,医師法17条に違反する。大阪地裁平成29年9月27日判決は,この結論を認め,被告人を罰金15…

相続放棄の錯誤無効?ー勘違いして相続放棄をしてしまったらとても大変ー

【設例】 Aの両親BCは,Aが幼いころに離婚し,Aは,母親Cによって女手一つで育てられた。数十年後のある日,Aは,Bの後妻Dから,Bが死亡し,目立った財産もないので,相続放棄をしたらどうかとの連絡を受けた。Aは,Bとは全く連絡も取っておらず,Bに何の愛…

法律学はRPGとよく似ている

法律の初学者は,法律ってよく分からない難しい,どう答案を書いてよいか分からないというイメージを持っているかもしれない。 そこで敢えて言おう,法律学はRPGに似ている。例えば,ドラクエⅢでラーミアをよみがえらせたい場合には,世界中に散らばる7つの…

大麻の使用を禁止することは法制度としては当然

昨今,少年事件においても,大麻使用の事件がちらほらみられる。その少年らの意見としてたまにあるのが,「大麻の害はタバコやアルコールよりも低い。大麻は合法化されている国もある。規制する日本の制度がおかしい。」というものである。断片的な情報を集…

養子縁組の流れ~基本編~

【設例】 AB夫妻は,共働きの夫婦で子供1人を養育していた。ある日,Aの兄Cが過労により精神障害を発症してしまい,治療のため,子供D(2歳)に対する養育を充分にすることができなくなってしまった。AB夫妻は,Dのことを可愛そうに思い,Dを養子に迎え,A…

熟年離婚における老後の年金額の格差をなくすための手続(年金分割)

【設例】 A(昭和35年生まれ)とB(昭和40年生まれ)は,平成3年1月1日に婚姻した。Aは,婚姻中,会社で勤務し,平均して年収600万円を得ていた。Bは,パートで働き,平均して年収150万円を得ていたほか,家事育児を主に担当していた。ところが…

訴因変更の可否について自分が理解するところ

2020年1月に加筆修正しました。 訴因変更って難しいですよね。実務を経験し、ようやく学生時代の疑問を解消できた気がしましたので、気合を入れて書いてみました。異様に長いですが,訴因変更の可否が分からないという方に少しでも参考になればと思います。…

改正刑事訴訟法-被疑者国選弁護人の対象事件が拡大されるのはいつから?

***結論だけ知りたい方向け*** 結論からいうと,平成30年6月1日です。これまでは,死刑、無期又は長期3年を超える懲役又は禁錮に当たる犯罪につき勾留されている被疑者について国選弁護人を付すことしかできませんでしたが、平成30年6月1日からは,…

居酒屋にお客が置き忘れた財布を取った場合、窃盗罪?占有離脱物横領罪?

【事例】Aらは,深夜,個人Cが経営する小さな居酒屋でお酒を飲んでいた。Aらの隣には,Bらがおり,Bらが先に席を立った。ところが,Bは,自分の席に財布を忘れたまま帰ってしまった。Aらは,そのことに気づき,Bらが返ってこないかを観察し,Bらが返ってから…

少年事件における証人尋問を実施すべきかどうかの判断基準と参考事例と雑感と。

少年事件では,刑事事件とは異なり,一件記録がすべて裁判所に提出される。そのため,裁判所は,少年が否認する供述をしていても,一件記録上,非行事実は十分認定できるとして,証人尋問を実施しないまま少年を保護処分に付す,という事態が生じる。 実際,…

遺産に賃貸住宅とローンがある場合の相続債務負担の在り方

マンション経営をしている相続人が死亡した場合,債務の行方は意外と問題が大きい。 相続が開始した場合,債務は,法定相続分に応じて当然に分割されることになることは,良く知られているところだと思う。では,その準則に従って,次の事例を考えてみよう。…

自己紹介

【経歴】 大学院まで卒業しています。司法試験にも100番台くらいの成績では受かっています。 【得意なこと・長所】 人にものを教えるのは得意です。 一定水準に到達するのは早く,その後は段取りよく物事を処理することができます。 【苦手なこと・短所】…

少年事件における処遇選択の考え方

今回は,少し毛色を変えて少年事件の処遇選択について勉強してみよう。 少年事件の処遇としては,一般的に,審判不開始→不処分→保護観察→少年院送致という順に重くなっていく(検察官送致,児童相談所長当等送致,児童自立支援施設等送致もあるが,ここでは…

建造物等以外放火における客体の限定の要否

マイナー論点として,刑法110条の客体を限定して,点火材料として用いられるような紙片などを除くべきか,というものがある。 110条の客体を限定すべきとする説は,それ自体を焼損することに意味のあるような物に限定すべきだ,などと主張する。これに…

不意を突いた行為による強制わいせつ罪の成否

Aは,通行中の女性Vに対して,Vの不意を突いて突然キスをして逃走した。 こんな場合,頭に浮かぶのは,強制わいせつ罪だろう。ところが,刑法上,強制わいせつ罪の条文は,以下のようになっている。 「13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いてわいせつな…